甘い蜜
それは、スローモーションに見えた。
真理子さんの手が麻理亜の肩を力の限り押した。思いも寄らない事に麻理亜の体はそのまま力に反発せずに傾いた。
階段の下に向かって。
体が動かない。
動け、動け、………動け!!!
「――――っま、」
声が掠れた。
麻理亜が視界から消えていく。
駄目だ、駄目だ!!
「っ麻理亜!!!!!」
俺の声に気付いた麻理亜は、目を見開いて手を伸ばしてきた。
俺は走りながら手を伸ばす。しかし、その手が届く事はなかった。