甘い蜜
クスリと笑って麻理亜の頭を一撫でしてから起き上がる。
同じように上半身だけ起き上がった麻理亜は、ぼーとしている。
「まだ、時間はあるから寝ていればいい」
「………起きる」
「そうか」
俺は一つ頷くと、部屋から出て洗面所へと向かう。
多少寝癖のついた髪を直し、顔を洗って歯を磨く。
「………何やってるんだろうな」
ふっと自嘲気味に笑う。
だけどもう戻れない。
「戻れない」
………朝飯、何を作ろうか。
すっきりした気分でリビングに向かうと、いい匂いが漂ってきた。