甘い蜜
台所を見ると、麻理亜が立っていた。
リビングに入ってきた俺を見て、少し申し訳なさそうだ。
「あ……朝ご飯、勝手に作っちゃった……」
「いや……お前、作れるんだな」
「料理好きだから」
へぇ、とテーブルに近寄ると、トーストに目玉焼き、カリカリのベーコンにスープ、野菜までしっかりと用意されていた。その横には煎れたての珈琲。
「凄いな」
「先生の口に合うか分からないけど」
「先生?」
「あ……敬夜さん」
名前を指摘すると、すぐさま直す。それに満足して俺は椅子に座った。