甘い蜜
さりげなく嬉しい事を言ってくれる。
思わず押し倒したくなったが、我慢する。
しかし麻理亜は本当に無頓着すぎる。もっと甘えればいいのに。もっと我が儘を言えばいいのに。
もう何度そう思ったから回数がしれない。
ふと、バラエティー番組でベタなデートスポットに芸能人がペアで行く、という企画が流されていた。
なんとなく見て、その中の一つに目が釘付けになった。
――――そうだ。
「麻理亜」
「何?敬夜さん?」
「水族館、行こうか」
仕方がない。麻理亜が思いつかないというなら俺が決めよう。
「水族……館?」
目を見開いて聞き返す麻理亜に俺は、にっこりと頷いた。