甘い蜜



当たり前のように麻理亜が玄関まで見送りにくる。


「………留守番するなら、家から出るなよ」

「うん」

「誰か来ても居留守しろ。変なのだったら困るから」

「うん。いってらっしゃい」

「………いってきます」


―――いってらっしゃい
―――いってきます


久しく口にしたことも無かった言葉。なんだか、むずがゆかった。
でも、嫌じゃない。


一度立ち止まって自分の部屋のドアを見、俺は歩き出した。


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