甘い蜜
――――――――
今日も1日つつがなく過ぎた。
俺のクラスの欠席は麻理亜だけ。日誌を見れば一週間来ていなかった。
本当に計算してるのか、あいつ。
明日はどんな手段使ってでも連れてこよう、と誓う。
「香山先生、お疲れ様です」
「高橋先生。お疲れ様です」
同じ数学科の先生。明るく人気のある若い女教師だ。
だが、俺はこの女教師を好きではない。
「先生、今日暇ですかぁ?」
猫なで声で椅子を近付けてくる。なんでこいつと隣同士なんだかと恨めしく思う。