甘い蜜
「すみません。」
「またですかぁ……」
しゅんっと肩を落とす彼女を他の男が見たら欲情するのだろう。しかし俺は違う。俺は、媚びてくる女が大嫌いだった。
鳥肌が立つ。
「すみません。またの機会に」
「約束ですよ?」
作り笑いを薄く浮かべる。約束はしない。
高橋先生は、つまらなさそうに自分の机に戻っていった。
俺も自分の仕事をする。
今日は部活も休みだし早く帰れそうだ。
麻理亜は、ちゃんと居るだろうか。
一瞬そんな不安が胸をよぎる。