甘い蜜
「それのどこが醜いんだ?」
醜くなんかない。むしろ嬉しいことじゃないか。
「嫉妬、してくれたんだろ?」
そう言うと、麻理亜は顔を真っ赤にさせ、俺の胸に顔をうずめた。
「…………嫉妬、なんて」
「美空さんは龍のだ」
「でも、笑顔向けた……」
あれは、所謂社交辞令だ。
友人の彼女なんだ、悪い印象を与えない方がいいと思った。
多分麻理亜も分かってる。
分かってるんだけど、感情が理解してくれなかった。
ただそれだけだ。
「俺には麻理亜以外女に見えなくなったんだけどな」
男として麻理亜以外反応しなくなった。それくらい俺は麻理亜しか見えないんだ。