あたしの居場所
第3章☆怪しい人たち
あたしは退院してすぐに高熱を出した。

前住んでいたとこにおじちゃん、あたしはまぁって呼んでるんだけど…退院祝いできてくれたのに肝心の主役はこの様だ。

「うう…」
苦しい。なんてったって熱は41度もあった。

「退院して、気がゆるんじゃったんでしょ…」
まぁはとても心配してくれて夜までいてくれた。

熱でやられたあたしは信じられない幻覚を見た。
すごく、すごくこわかった。

部屋の隅から、ドアの隙間から、押し入れの中から、洗濯物の陰から、怖い顔をしたニワトリがぞろぞろ出てくるのだ。あたしにどんどん近付いてくる。
でも、まばたきをすると消えて、また最初から…。
怖くなったあたしは部屋をふらつきながら飛び出た。

まぁは帰る支度をしていた。

血相を変えて出てきたあたしにまぁは駆け寄る。

「き~ちゃん、どーしたの?怖い夢みた?」

あたしの汗を拭きながら優しい声で聞いてくる。

「にわとりがいっぱいくるの。まぁー怖いよ~」

そんなあたしをまぁは抱っこして部屋へ戻し、なんにもいないよ、と声をかけ寝かせてくれた。そして、小さな声で「またくるね?」と言って部屋を出た。

あたしは安心して眠りについた。
< 11 / 26 >

この作品をシェア

pagetop