チキン彼氏を救出せよ!!
「坂城にまで告白されたら俺……気が変になっちまうよ。」
今も充分変になってるよ神田。
「私は神田みたいな完璧人間は友達で充分よ。」
「そんなこと言ってくれるのは坂城だけだよー」
「うわっ…ちょ、神田!」
神田はあたしの手を取り激しく縦にふった。
手首が痛い…。
女子の視線も痛い…。
「………ちょっと!!」
私と神田の前には凄い形相のクラスの女子…ほぼ全員がいた。
「…なに?」
私は怯みもしないで聞く。
「神田にさわんなよ。」
クラスの女子の中でリーダー格で熱烈な神田ファンであるユリ(仮名)が私を睨みながら言う。
「はいはいすみません。」
私はパッと神田の手をふりほどく。
この状態に驚きを隠せない神田は目を見開いていた。
まぁ…当然といえば当然なんだけど。
神田は女子のこんな黒い所なんて知らずに生きてきたんだから。
「…なによその態度!!
あんた、ここ最近神田と仲いいからって調子のんなよ!!」
ユリは嫉妬心むき出しで私に怒鳴り散らす。
「別に私は調子に乗ってなんかいないよ。
それより、神田にあんたの正体バレたこと心配すれば?」
あたしは放心状態の神田を指差して言った。
ユリの顔は一瞬にして青ざめた。
「か…神田、違うの、あたし、つい…
ごめんね?」
ユリはぶりっ子ぎみにそう言った。
神田は、再び目を見開いて驚く。
「な……っ、おい、これが女の正体なんだな、坂城!!」
「うん。」
あたしがあまりにあっさりと答えたからか、神田は…
「お…恐ろしい、ぶりっ子女……」
そうブツブツ呟いた。
それから、神田はめっきりぶりっ子恐怖症なのである。