繋がれた天使〜Siori and Mitsuki〜


その夜。


俺と栞は
ベッドで寄り添い
これからの事を話した。



このベッドじゃ少し狭いから、
布団を二つ並べて寝ようとか

栞はこっちに慣れたら
バイトを探すとか


他愛のない話。


そんな当たり前のことが
すごく嬉しかった。



紆余曲折あったけど、
これから始まる二人の生活に
思いを馳せては微笑んだ。



「あのね、光基…」

「…何?」


「誕生日、おめでとう」


栞が俺の耳元で
小さく囁いた。



あ…

そうだった。


仕事の忙しさや栞の引っ越しで、
すっかり忘れていた。



もう
誕生日がめでたい歳でもないが、
栞に言われるのはちょっと嬉しい。



「せっかくの誕生日なのに、
 引っ越しで潰れちゃったね。

 プレゼントも何も用意してなか
 ったし」



そんな事はどうでもいいんだ。



だって…

俺の誕生日に

ここに栞が来てくれたことが

一番のプレゼントだから。



照れ臭くて言えないけどな。



いろんなモノを手放してまで、
俺のところに来てくれた栞を
幸せにしたいと思う。


幸せにしなくちゃ嘘だ。


俺、頑張るから。

な、栞。
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