蒼い月

転校生

いつも通りの朝。


いつも通りの登校。


いつも通り、クラスメイトを挨拶を交わして


いつも通り、笑と有沙があたしの机に


駆け寄ってくる。


そして...いつも通り一通りの恋バナをして


いつも通りのHRが始まる。



・・・はずだった。


でも今日は何かが違っていた。


クラスに入ってすぐ分かる騒がしさ。


みんなの興奮。


笑と有沙の駆け寄ってくるスピードまで


何もかもが違っていた。



「あっ!飛鳥やっときた!!」

「もう...っ!待ってたよ...!?」



待ち構えていたかのように


笑と有沙が駆け寄ってくる。


でも・・・普通そこまで待つ?


やっぱりおかしい。


あたしはとりあえず席に着くと


待っていたかのように2人は話し出した。



「ちょっと聞いてよ!
今日は転校生がくるんだって!!」

「しかも男子!!!
相当なイケメンだって聞いてるけど・・・」



あたしが特に聞いてもいないのに


そうやって話し出す2人。


ところで・・・



「その情報は一体どこから・・・?」

「え、聞くところそこですか!?」

「・・・いや逆にそこしかなくない?」



笑と有沙が顔を見合わせ、


呆れた顔で見る。


いや~そんな顔されても・・・


そこしか聞くとこないし、普通に。



「やっぱり分かってたけどさぁ...
飛鳥ってそーゆーの興味ないわけ!?」

「興味ないってゆーか見てもいないのに、
興味も何ももてないよ」

「そこから恋が始まるかもしんないのに!?」



2人は『ね~』と声を合わせ、


いろいろ喋っている。


はぁ・・・激しくくだらない。


どうでもいい・・・。


でもまぁ・・・中2だしね?


そりゃあ恋なんて全く興味ないって


訳じゃないよ?


でも・・・いい人がいないから。







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