蒼い月
「よっ!
文化祭いろいろあって
あんまり回れなかったな~」
何も知らない晴輝が
のんきに話し出す。
スカウトされた、なんて...
絶対いえない。
「うん、そうだね。
あたしの演技は見に来てくれた?」
「うん、仕事抜け出して
見に行ったよ」
「丁度仕事の時間だったの?
大丈夫?
怒られたりしない?」
「あぁ、大丈夫。
トイレに行くって言ってきたし」
トイレって・・・
もうちょっと上手い言い訳は
なかったの...?
大体トイレって言って
あたしの見に来るって...
あっちの人からすれば
トイレ長すぎでしょ!って
なるでしょ。
「そういえば
今日、スカウトマンきてるって
聞いてたけど
どう?きてた?」
「あ...いや。
わかんない。
けど..きてたのかな?」
いきなり聞かれたくないことを
聞かれてしどろもどろに
なってしまった。
「ふーん。あ、じゃあな!」
「うん!」
よかった・・・
怪しまれてはなかったみたい。
でも本当どうしよう...
スカウトされたことももちろん
何と言っても真朝たちの嫌がらせ。
瑞穂もいるしなぁ・・・
また厄介なことになったらやだし。