【完結】先生との恋
「着替えたいから出ていってくれる?
……見たいの?着替えてるトコ」
眉間に皺を寄せながら高橋に少し冗談っぽく聞く。
「あ、すみません」
高橋は意味を理解して動揺したように椅子をガタッと大きな音をたたせながら、立ち上がってカーテンの向こうに出ていく。
「……検査で何回も見てるから気にしないって事ですか」
まぁ。
いっつも検査で見てたら何とも思わないと思うけど。
こっちも検査以外で見せようとはさすがに思えないし。
「そんなつもりじゃ……ちょっとボーっとしてただけです」
動揺した声がカーテンの向こう側から聞こえてくる。
見たわけでも無いのにそんな動揺することないじゃん。
その声にあたしも自然と笑ってしまう。
本当はもう帰ってきたんだから部屋から出ていってよって言いたかったけど。
もうちょっと揺らいでる高橋を見てるのも良いかも。
「仕事中にボーっとしてるなんてさ……手術中もボーってしちゃうかもしれないの?
それだから受けたくないんだよね。危ない」
他に意識を飛ばすほど疲れさせているのはあたしのせいだろうけど。
「すみません……って、何か落ちてますよ」
カーテンが高橋が動いたのと同時に少し揺れる。
「ちょ、まだ入って来ないでよ」