【完結】先生との恋
高橋はゆっくりとあたしの寝ている側まで歩いて来ると、布団を肩まで上げる。
……先生ぶりやがって。
「おやすみ」
囁くようにそう言って出ていこうとする高橋。
気持ち良く寝ていた人を起こして、先生ぶって。
なんかムカつく。
「高橋」
あたしは高橋の白衣の袖を掴む。
高橋は立ち止まってあたしを見た。
「起こされて、目が覚めた。
あんた、なんか話してよ」
「でも……」
「少しだけ。嫌なら良いけど。明日友達の所に話しに行くから」
高橋が断れないように、抜け出す宣言をする。
「……分かりました。少しの間、ここにいますから。明日抜け出さないで下さいよ?」
高橋はあたしのベットの下に置かれていた椅子を音を立てないように出して座る。
あたしはゆっくりと体を起こした。
目が慣れて来て、高橋の顔が少しだけ見えるようになってきた。
「……何話したら良い?」
「別に何でも」
ただ暇つぶしの相手になって貰っただけだし、適当に喋ってくれれば。
目もしっかり覚めたし、しばらくは眠れなさそうだし。
「んー……じゃあ、岡本さん、好きな人いるの?」