メイドが執事に恋をする



部屋の入り口でドアノブを回そうとしたとき




「ちょっとあなた!」


ふと声のした方を見ると
そこには小百合お嬢様が睨んであたしをみていた。


びっくりして黙っていると、

「ノックもなしに無言で人の部屋に入るなんてどういうつもり?!

あなた和真に何のようなの?」


凄い勢いであたしに詰め寄ってくる。


「も、申し訳ございません。
桜井さんが風邪を引かれて寝込んでいらっしゃったので。
起こしてはいけないと思いまして…。」



剣幕に押されて後退りながら
必死で迫る小百合様に慌てて事情を説明する。



「和真が風邪?!」

そう言うと口元に手を当てて少し黙った。

何を言われるのかとびくびく言葉を待っていると、


「それ、和真の食事?」

と持っていた料理を指差した。





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