ダチュラな私。
「あ、ごめんなさ……」
意識することもなく謝ろうとした私の言葉は、そこで途切れてしまった。
後ろにいる、私がぶつかってしまった人物にそのまま抱きしめられてしまったから。
でもそのことに全く不快感はなく、むしろ安心感があった。
そんな人物は……
この場所には聖羅と、もう一人。
「こいつに何か用?」
一成しかいない。
頭上から落ちてくる声はとても低くて、怒鳴っているわけでもないのに誰が聞いても怒っているとわかるものだった。
私からは見えないけれど、あの綺麗な真っ黒の瞳にも怒りをあらわにしているのだろう。
「いや、べつになにも……」
その証拠にあんなにしつこかった男達は、私ではなく一成を見ながらそう呟いた。
表情には恐怖の色が浮かんでいる。
そして男達はお互いに何度か顔を見合わすと、ぶつぶつと何か呟きながら去っていった。