ダチュラな私。

重なる気持ち



今までにも一成に抱きしめられたことはあるけれど、それには理由があって。

理由もなく抱きしめられたのは、これが初めてだった。


一成の胸元にくっついている額から、心臓の鼓動が伝わってきた。

その音を聞いているとすごく恥ずかしくなって、離れようと一成の体を押す。

だけど一成はそれを許してくれなくて、さらに強く抱きしめられた。


……一成からすればこんなこと、大した意味はないのかもしれない。

だけど私はこんなことをされると、都合の良いように勘違いしたくなる。

勘違いをした馬鹿なオンナにはなりたくなくて、なんとか離れようともがいていると。


「初めて会ったとき、この女は人を馬鹿にしてるのかって思ったんだ」

頭上から、そんな声が響く。

一成の言う“この女”が誰かなんて聞かなくても、私だということはわかった。
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