【実話】アタシの値段~a period~


季節は冬。


この町に雪が降ることは滅多にナイけど


それでも外は寒い。



赤くなった手をカサカサと


さすりながら歩く。




冷たい両手じゃ


右手も左手も
温まるわけないのに。



携帯のアドレス帳を開いて


ア行から順にスクロールを降ろす。




300件近くある名前の中には


誰か分からない名前が半分。



残りの半分の内の更に半分は


もう顔も曖昧にしか思い出せない。





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