【実話】アタシの値段~a period~
ホットコーヒーで少し温まった息は、さっきよりも白い。
アタシは息を、空に向けて吐き出した。
ぼんやり、と風に消される白色を見ながら
少しだけ心が安らぐ。
アタシは、ぼんやりとしたものが好き。
くっきりと姿形がある分だけ
自分の方がいくらかマシだと思えるから。
惨めだなぁー、と鼻で笑って空を見上げると
ぽつ、ぽつ、と
小降りの雨が降り始めた。
アタシは、コーヒーの缶をギュッと握って、冷たい手を温めた。