【実話】アタシの値段~a period~
どれほど
痛かっただろうか……
塞ぎかけていた傷口を
俺はこの手で
更に深くえぐったのだ。
バカな俺にも
それくらいは分かった。
「帰るよ…。」
ごめんな、
と、去り際に残して
もうユキの顔を見ることもできずに
俺は部屋を出た。
外はもう、薄く明るくて
それさえ今の俺には
不相応なほど眩しかった。
「あ、タカシ君。」
呼ばれ慣れない呼ばれ方。
声の方を見ると、駐輪場の壁に寄り掛かる
浩介という男が立っていた。