【実話】アタシの値段~a period~
浩介が無言で煙草の火を消す間
俺は黙って、答えを待っていた。
角度を上げて
照明に視線をやった浩介は
腹を括ったかのように、且つ大袈裟に
深呼吸ともとれる、深いため息を吐いた。
「なぁ、俺もさ、人間だし、男だからね
最初はそういう気持ちもあったよ。」
やはり……
「今は…?」
「今は…本当にそんなんじゃないんだ。
アイツと知り合って1年経つけど
俺は指一本、ユキに触れたことはないしね。
いや、こんな言い方はずるいか…」
触れられなかったんだよ、
とどこか遠くを見るような目で。