【実話】アタシの値段~a period~
もう影も残さずに消えて無くなってしまったと思っていた心が
まだ死にきっていないんだと気付いたのは
ほんの少しだけ
胸が痛くなったから。
だから
遠回しな男は嫌いなのよ。
偽者の優しさはね。
スプーンで削られて減ってゆくオムライスの
最後の一口が残ったお皿を見つめながら
そんなことを思った。
『…寝る。』
カランとスプーンを置く。
「あ、ほんとだ、もう12時だな。」
隆志の視線の先にある時計は
この部屋には似合わない赤い色で。
その針は確かに12時を指していた。
『あ‥18歳。』
無意識にボソッと呟いたアタシの言葉。
「何?お前、誕生日なの!?」
驚く隆志をシカトして
アタシは隣のベッドルームに入った。