夜の女に恋をした
最終章 再出発
あれからしばらくして俺はある事情があって引越しをした。


思い出、いいものもあれば悪いものもあるこの部屋。

もう俺が部屋にいるときに玄関が開くことはない。

あの子らと笑い合うことだってない。


淋しいという感情は不思議となく、からっぽという感じだ。


淋しいという感情がどんなものなのかさっぱりわからない。

穴が開いているという感じ。



笑うことをだいぶ忘れている気がする。



そんな俺は転勤の願いを出した。

そして俺のその事情、それは転勤が決まったからだ。


行き先は九州。

そう、俺は北海道に行きたくなってしまわないよう、あえて一番遠い支社がある九州に転勤願いを出したんだ。


慎吾とも、地元や高校のツレ、職場の奴らとも簡単には会えなくなってしまったが、俺は1からスタートしたかったんだ。


それにしても九州の夏は暑い。
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