夜の女に恋をした
第四章 突然の事
俺にはまだ大きな問題があった。

えみちゃんだ。

付き合えないって口に出すのは簡単。

でも、ヤってる以上、簡単に付き合えないなんて言えない・・・。

ほんっとにいい加減な自分が嫌になる・・。


俺は悠嘉との事、そしてえみちゃんのことを会社の喫煙室で慎吾に話した。


「やるなぁ、お前。彼女出来たじゃねーか。」


「いや・・まだ彼女じゃねぇけどな。」


「ばっか、彼女みたいなもんだろ。よかったよかった。」


慎吾は自分のことかのように笑顔で俺をバシバシと叩いてきた。


「いてーよ、ったく。でもえみちゃんには何て断るべきだと思う??」


そう聞くと慎吾は上を向いてちょっと考える仕草を見せた。

俺はその慎吾を見ていた。

相変わらずのイケメン。

スラッとした鼻、パッチリとした目、薄い唇、整った眉、バランスが取れてる。

うらやましい奴だ。


「んー・・やっぱしょうがねーし、彼女できたって言えば??」


「んなこと言えるか!!最低じゃねーかよ。」


「ほんとの話だろーが。最低だろ、普通に。」


「・・・そりゃそうだけど。」


「話してやれよ、ほんとのこと。その方が後々楽になるって。」


そう言うと慎吾はタバコに火をつけた。

それにつられて俺もタバコに火をつける。


「そうだな、話すよ。本当のこと。」


「しかしアレだな。俺もお前もモテると大変だよな。」


そう言って笑いながら慎吾はタバコの煙をはいた。


「俺はそんなモテねーよ。お前だけだろ、いつもいつも困ってんのは。」


そう言って俺はさっきつけたばかりのタバコを消し、部屋を出た。

俺の心の中はまだ喫煙室のような空気。

でも外は新鮮な空気。

早くこっちの空気のような心になろうと思い、今日ちゃんと話をすることに決めた。
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