覚めない微熱だけ、もてあましながら
4、恋は甘いショートケーキ
〈4、恋は甘いショートケーキ〉
「最近は本当に寒くて、これから冬が来てもっと寒くなると思うと、憂鬱になりますね~」
「本当にね。冬、嫌いです」
「冬はやっぱり肩がこりやすくなりますから、マメにケアしていきましょうね~!」
「そうね……。って言うか、なんか中谷さん今日テンション高いですね」
「え? そうですか~? そんなことないですよ~。気のせいです!」
愛子は、相手の女性の肩をマッサージしながら言った。
職業は、アロマオイルを使ったアロマセラピスト。ここの店舗に勤めて三年。もう、ベテランの領域だった。〈癒し〉を提供する職業。元々癒し系の雰囲気を持つ愛子には、顧客も多い。男女兼用の店舗だ。白を基調とした店内、余計な物はなく、アロマの香りがホッとさせる。
ボディマッサージの他、女性限定でフェイシャルとまつ毛パーマの施術も行っている。
「何かいいことでもあった?」