世界で一番甘いもの。【短】






することが無くなったあたしはテレビのチャンネルに手を伸ばした。



時間帯なのか、特に面白そうなものがなくて、あたしはとりあえず地元のニュースを見ることにした。





{今日は10月31日、ハロウィンということで、幼稚園でパーティが開かれました。}



画面の向こう側では、アナウンサーが張り付いた笑顔でそう言ったあと、パッと画面が変わる。



そこには、黒いビニールを被った園児たちが先生にお菓子を貰う姿。



{園児たちは『トリックオアトリート』と口々に言いながらたくさんお菓子をもらったようです。}








…ふーん。



「ハロウィン、か。」




そう言えば今日だったなー、なんて思っていると





『ん〜…。』




突然の唸り声。





「…起きた?」




煩わしくないよう、小さくそう問いかけると、彰の目がうっすらと開いた。



『…ん。……俺どんくらい寝てた?』



まだ少し眠たそうな顔をした彰。



「んと、一時間ちょっとかな?」



そう言えば



『…暇だったろ?悪かったな。』



なんて謝ってくるから、あたしは慌てて首を振る。




彰は優しく微笑むとスッと手をのばし、垂れていたあたしの髪を耳にかけてくれた。



お礼と言わんばかりにあたしも彰の目にかかる蜂蜜色をはらってあげる。






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