世界で一番甘いもの。【短】






特に会話も無く、ただ見つめあう。




あ、そうだ。



閃いたあたしは


「ね、ね、彰?」



『ん?』



唐突に話しかける。




「今日、何の日かわかる?」



知ってるかなー?なんて少しワクワクしながら聞いてみると彰からは



『……土曜日。』



なんて答えが返ってきて思わず笑ってしまった。



『…なんだよ?』



笑われてムスッとした顔をする彰に謝りながらもあたしは正解発表をする。




「今日はね、ハロウィンなんだって。…だからさ、「お菓子くれなきゃイタズラしちゃうよ?」」



彰が何も持ってないのを知っていてふざけて言ってみる。


なのに、彰はキョトンとしたあと、自信有りげに口端をあげてみせた。



え?何も持ってないでしょう?




そんなあたしの読みは外れていたらしく、




『じゃあ、世界で一番甘いものを花梨(かりん)にやるよ。』






彰はあたしにそう言った。




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