俺が大人になった冬
「あれ?」

駅の方向から家の前の道を、彼女が両手に荷物を持って歩いてくるのが目に入る。

なんで徒歩?

イマイチ状況が飲み込めないまま、俺はとりあえず彼女のところまで走った。

「あ! 元くん!」

彼女は俺を見つけると白い息を吐きながらニコニコと笑い、重そうに荷物を持った手で一生懸命手を振った。

「『あ!』じゃなくて! 車は?」

「今日は電車で来てみようと思ったの。遅くなってごめんなさい」

「なんだよ! 電車で来るんだったら電話くれればよかったじゃん! 駅まで迎えに行ったのに!」

言いながら、さり気なく彼女の両手の荷物を手に取る。

「あ、ありがとう」

「重っ! なにこれ?」

「『お正月』しようと思って。色々持って来たの」

ふふっと嬉しそうに笑う彼女に、左手に荷物をまとめて持ってから

「手! 見して!」

と、右手を彼女の方に出しぶっきらぼうに言った。
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