海と少女と介護士と
「海羅?窓見てみ?」

ずっと海の本を見ていた海羅に窓の向こうの景色を見せる。


「わぁ……!!」



そこには透き通るような色をした海が広がっていた。


「海……?」

「うん。」


俺は車を止め海羅を車椅子に乗せた。
砂浜で車椅子を押すのは想像以上に重い。

俺は海羅を抱き上げ走って海まで行った。

「お兄ちゃん……ありがと。」

「うん。」

俺はそっと海羅を砂浜に座らせ海の水を触らせた。

「冷たい。」

「舐めてみ?」

「しょっぱい!!!」

そんな海羅を見て俺は笑った。
そんな俺を見て海羅は恥をかく。


そして笑った。
海の波の音を聞きながら。
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