海と少女と介護士と
言ったからには、即実行。
俺は海羅を車椅子から抱き上げ自分の車の助手席に座らせた。

「ちょっと待っててな。」

そう言って車椅子も後部座席を倒して入れ込む。

海羅にシートベルトをつけさせ、青色の本を渡しエンジンをかけた。





「海羅・・・・・・。」

「何?」

「これなお前への恩返しだ。」

「え?私、何もしてない・・・。」


俺の言葉に海羅はキョトンとした。
少し照れ臭そうに俺は海羅に話す。

「俺な、中途半端な人間だった。仕事もすぐ辞めてさ、今回の介護もぶっちゃけ直ぐ辞めるんだろうなって思いながらしてたよ。」

「・・・」

「でもな、お前が【諦めない】って事教えてくれたんだ。」

「そうなの??」

「あぁ。だから介護士ずっと頑張ってみようと誓ったんだ。」

「そっか。」


ココで話が途切れた。

俺は海羅に思いを伝えられて安心と嬉しさの思いに浸っていた。

沈黙が続いて10分程、沈黙を破ったのは俺だった。

< 12 / 16 >

この作品をシェア

pagetop