狐の眠り姫
千春が呟いた。
「…なあ、お前は、三善と上条と一体どういう関係なんだ?」
「近藤の頭でも分からないのか?」
零は鼻で笑う。
「データ不足なんだ。圧倒的な。」
千春は、不愉快そうな顔をする。
「そうだな、もし近藤が上条と結婚でもしたら教えてやるよ。」
不思議がる近藤に、心の中だけで呟く。上条の親戚には教えなくてはならないからな…
「あ、いたいたー!」
「お、ちゃんと買って来たのか。」
「うんっ。お団子5パックにお茶とポテチっ」
風花がビニール袋の中身を芝生に開ける。
「ポテチ頼んだの誰だよ?花見に…」
近藤が呆れたように言う。
「俺だよ。」
零が静かに言うと、千春はぎょっとした顔をした。
「悪かった…俺はてっきりまた引きこもり偏食女かと…」
風花がぎろりと千春を睨む。
次の瞬間、桜の花の下から哀れな男子の叫び声が響いた。
< 43 / 47 >

この作品をシェア

pagetop