† 黒猫とクラウン †
【通学路にて】

「なんであいつ・・・あんなに幸せそうにしてるんだろ・・・」

そんな事を考えて歩いていると、不意に目の前が真っ暗になった。

「千影、だ~れだ!」

・・・そんなの、確認するまでもない。

「おはよう、蓮」

「げっ!また当てられた!すげぇな、お前」

――・・・って言われても、毎日同じ事をされていたら、そりゃあ誰だってわかる。

「蓮が分かりやすいんだよ」

「ちぇ」

蓮は笑いながら、手を僕の顔からどけた。

・・・ずっと・・・。

・・・ずっと続くと思ってたのに・・・。

こんな幸せな日々が・・・。

【千影宅にて】

「ただいま」

家についたのは、午後7時。

『思ったより早かったですね』

居間の方から、トトトトッという軽快な足取りが聞こえ、間も無く月影の顔がひょっこりのぞいた。

靴を脱ぎながら、そういえばと切り出した。

「紹介って、どこでするの?あと、何時に出発?」









< 15 / 42 >

この作品をシェア

pagetop