† 黒猫とクラウン †
安心しながら、自分の家へ向かう。

『月影・・・大丈夫かな・・・』

意識が無くなる前に見た、部屋の扉が勢いよく開く瞬間。

『あれは月影だ・・・』

自分が月影に何か危害を加えていないことを願いながら、家へと急ぐ。

・・・と、そのとき・・・。

『いたぞー!!黒牙様だ!』

後ろで確かにそう聞こえた。

ハッとして振り返ると、飛行系のテイルズたちが、その背に主人をのせて飛んできていた。

『なんでばれたんだ!?』

完璧に化けているはずなのになんで!?

そう思ったが、テイルズたちは、さすが妖怪だけあって早い。

『このままじゃ追いつかれる!』

急いで龍に化け、そのまま加速する。

龍の姿の僕は、あっという間にテイルズたちを引き離し、家へとたどり着いたが、その家の前で力尽きてしまった。

『もぅ・・・動けない・・・』

千影は、足の痛みとテイルズたちを2度も振り切って使い果たした体力で、もう立つこともできないほどに弱り果ててしまっていた。

自分の体が意志とは関係なく、大きな化け猫へと戻っていくのを感じた。

『月影・・・。たす・・・けて・・・』

そして、そのまま意識を失った。

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