† 黒猫とクラウン †
自分の二又の尾を、2匹の見張りの胸元にあてがい、名を尋ねる。

『主らの名を名乗れ』

『ランディ』『レンディ』

尾の先に、それぞれの名が刻み込まれる。

そしてそれを、あてがっている部分から突き刺した。

抜くと、刺した部分に、王者黒牙のクラウンのマークが浮かんだ。

『ありがとうございます!ご主人!』

本当に嬉しそうに言う2匹を見ると、ボスって奴は本当にひどい奴なんだと思った。

『・・・名前は分かったけど、お前らの種族は?』

聞くと、2匹は気まずそうに顔を見合わせた。

『言いたくなければ、いい』

『い、いえ。なんというか・・・。主人がこれを聞いて、我々を捨ててしまうのではないかと・・・』
ランディがそんなことを言った。

『僕は絶対捨てない。だから言ってみて?その方が気が楽になると思う』

『は、はい。その、我ら兄弟は・・・。種族はありません。』

『やはり兄弟だったか。・・・種族がないとは、どういうことだ?』

『我らは雑種です。ボスが興味本位で作り出した、全く違う種族のテイルズ同士を配合して産まれました』
レンディはそこまで言い切ると、硬く目を閉じて、契約の取り消しを覚悟しているようだった。
『そうだったのか・・・。種族がないのは不憫だろうな・・・。よし!僕が種族名を挙あげよう!それでどうだ?』
僕がそう切り出すと、2匹は、契約が取り消されないのと、新しい種族名が貰えることを知り、驚きと喜びで顔をくしゃくしゃにして喜んだ。
『『ありがとうございます!!』』

『それで、種族名だけど・・・。何と何の種族の配合なの?』

『ユニコーン族と白羽鷲(しらばねわし)族です』


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