《短編》ヤンキーの姉
「ごめん。俺のせいでこんな目に合わせて」

しおらしく謝ってくる英治の口調は少し柔らかい。


そう、英治はあたしと話すときだけこんな口調だった。

恐怖と緊張で忘れていた。


でも、いつもの英治の話し方にホッとする。

あたしの前でだけ違う顔を見せる英治が、あたしは好きなんだ。



「いいよ。助けに来てくれたし」

そう言って許した。

だって怒る気なんか失せちゃったもん。



でも、怒る代わりに疑問を口にする。

前からずっと持っていた疑問を。

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