マイスィートアフタヌーン
「眠るつもりはなかったんだ」

 と、膝の上にある上着に気付く。ドア横のハンガーに吊るしておいたものを、彼女がかけてくれたのだろう。示しながら礼を述べると、ほんの一瞬顔を上げていいえと言った。

ペンを走らせている手をその間も止めはしない。


「レスリーに、急ぎの用事?」

「えぇ。お願いがあるの」

「彼は今日は戻らない予定だよ」


ぴた。

単語を書きかけてペンは止まった。
ピクニックの日の窓に雨粒を見たようなその顔を見て、フレディは急いで言い添える。

「あるいは真夜中に戻ってくるか」

「同じくらいに残念ね」

「本当に」
< 2 / 102 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop