マイスィートアフタヌーン
 手紙は一度、封が切られたらしい跡があった。気付かぬ者なら気付きはしない痕跡を、刑事はもちろん見つけるものだ。

けれどこれにはまた差出人がわざと誘うような封をしたのではないか? と思わざるを得ない痕もあった。


さてメアリーアン、どこまでが君の策なのか。

見かけによらず喋れば確かに、彼女は結構くるくる回る。


「私、クレイクリフで子女のための学校を開いております。開校しまして十二年と歴史はまだまだ浅いながらも良家の皆様の支持を得まして、経営はまずまずの状態と言えるでしょう。私は経営者でもありますが自ら学院長も勤めておりましてね。良妻賢母の養成に力を注いでいるのです」

「ロンドンには、今回はなぜ?」
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