マイスィートアフタヌーン
「夫は五年前に亡くなりましてね、身内と言えば息子のジョンがただ一人です。オックスフォードを出させまして以降、いずれは学院を継がせる心積もりで見習わせて参りましたが、そのジョンが何を考えましたのかこんなものを残して家を出まして」


話は質問の答えに近づいているのか? フレディは失礼、とバックから登場した封筒を受け取った。

一文だ。



『手紙を書きます     ジョン』



「私すぐに息子を追って参りました。醜聞となることなく見つけ出したいと思っています。学院の信用に関わる一大事ですよ。このようなことが父兄の耳に入りましたら、なんと思われることか。女手一本ではなく立派な跡継ぎのあることも、信頼の因となっていることも承知しているはずですのに、あの子は何を思ってこんな真似をしたものですかね、気が知れないですよ」
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