マイスィートアフタヌーン
「そうですね。旅行の手配にも便利ですし。可能性は高いと言えるでしょう。大学はオックスフォードだとおっしゃいましたが、カレッジ名と卒業年度がおわかりになればおっしゃってください」


もう一つ常道の質問、『ロンドン以外で彼が訪れそうな友人を』については持ち出さないこととした。

これ以上の『知らぬ』を聞くことは、しのびないように思えたのだ。

母と息子とはこのようなものだろうか。だが少なくともミセス・ミルトンは、息子の卒業年度とカレッジ名をはっきりと言うことはできた。


息子の格を語るためだろうかと、穿った考えをする自分の心がしのびない。
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