マイスィートアフタヌーン
「私共には体面は重要ですの。捜査に当たっては細心の注意をお願いしますわ、幾重にも厳重に。どこから漏れるか知れたものではありませんもの。クレイクリフの息子が逃げ出したなんてことが知れ渡ってしまったら、一息に学院の崩壊に繋がりかねませんわよ」


鼻が鳴った。しかしフレディは(もはや)ひるみは見せなかった。

慣れてきたのだ。


「わかりました。充分注意をはらいながら進めることをお約束します。連絡はどちらに? ロンドンにはご滞在ですか?」


「宿は後に回して新聞社を訪ねました。支配人が変わっていなければパークロイヤルに部屋をとりますわ。ホテルというものは支配人が違いますと、何もかもががらりと変わってしまいますもの。昨今はそれも、変わるとしたなら悪い方向にばかりです。時代ですかしらね」
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