マイスィートアフタヌーン
「嫌だわ、何か言ったのね? 時間を割いて話を伺い、紹介状まで書いて差し上げた私にひどい仕打ち。やっぱりミスターを渡すわけにはいかないわ」

「ミスター? それがご子息のジョン君のことだとすると、やはり君は居所を知っているわけだ」


ふふふ。笑うために間を取った。


「私たちが学院にいた頃は彼はまだ学生だったのよ。だいたい一週おきに呼び戻されていた彼と、私たち、理由の場で会っていたの」

「理由の場?」


「お茶会」


完全に背中越しの声が、意味の知れない言葉を告げる。

直後、手は小部屋の薄いカーテンをめくり上げた。
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