マイスィートアフタヌーン
 降車客も見送り人も、ほとんどが姿を消したホームに、その声は散ってなくなった。

雪のように降ったのならば、地面到達にかかるほどの時間が過ぎてやっと、メアリーアンは応えていた。


「そうして。えぇ」……


届かない返事に意味はない。舞う砂埃を見るも虚しい情景。空になったプラットホームの寂しさを、渋く強く噛みしめる。

そしておかしなことには自分たちは、汽車が去った方向とはまったく違う側を向いているのだが。

セントラルから聞こえてくる喧騒も、また侘しく感じられる。


今自分が抱いているに似たような感慨を、抱いている人などいるのだろうか。あの大勢の中に。
< 87 / 102 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop