昼間の月は淡くて白い

*『紅界華』

風に 風に

逆らいながら

深く 深く

泉を渡れ

紅く 紅く

燃ゆる大空の

時は 時は

止まったままで

乾いた風を

受けるあなたの閉じぬ瞳は

止まった空を見ていた

紅い 紅い世界

空も 水も 樹木も 大地も

何もかもが紅く

そう あなたでさえも

止まった時を戻す術は

灯火の様に消えてゆくのか

紅き山の奥に眠る祠の鳥居を抜けて

もはや消えた神にすがれと言うのか

紅い 紅い世界

空も 水も 樹木も 大地も

何もかもが紅く

そう あなたでさえも

誰もいない世界

あなた以外存在しない

生まれては消える

そう あなたを残して

*
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