昼間の月は淡くて白い
夕〜逢魔ヶ時〜
*『曼珠沙華』


死者を送るあの華

死者を導くあの華

黄泉にまで咲くと言うその華は

灯籠のように美しい

毒をふくんだその御姿で

妖艶に微笑む

霞みの向こうで凛と立つ

その姿に強く惹かれる


君は極楽に咲くと言うよ

君は地獄に咲くと言うよ

死滅した後にも君に会えるなら

死すらも怖くはないと思える

その身の毒を

美しさに変えて

世界を繋げる灯に

離れた者を悼む為

妖艶でいても凛として

強烈でいても儚くて

強さが余計美しい

純粋に君に魅せられる

その美しさにどうか触れたい

うつろいやすい

季節になりえぬその時期に

どうかこの手を拒まずにいて



*
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