きみに守られて
「最後に質問していいですか?」

「ええでぇ~」意味なく関西弁。

「その世界に行って
彼女に会ったら神様の事や
いろんな事情、
話しても良いですよね?」

「当然だろうよ。
あの子も
何がなんだか
わからんまま膿が
充満した世界にいるのは、
納得いかんだろうよ?」

ユリツキは少し安心した。

「わかりました、
全部神様のミスで、
神様が悪いと言っときます」

「そうだな。
よし、三年前のあの子が行った
裏の世界で守り通してくれよ」

「はい、了解です。
でもどうやれば行けるんです?」

「あと一歩
向こうに踏み出せばいいだけだ」
十九歳の大島優里の方を示した。


「鬼がでるか、蛇が出るか、
とりあえず、
あなたを守りにいきます」


「あぁ!そうだ!神様!神様!」

ユリツキの心を読み取り

「武器なんていらねぇよ!」

「嘘?だってあれじゃないですか、
あの、ほら、なんとかの剣とか、
伝説の剣とかさ?
勇者が持つやつ?」

「だから、いらねぇって。
それにお前、勇者じゃねぇし。
まったく
ドラクエじゃあるめぇしよ」

「そうなんですか。
え?神様もドラクエやるんだ」


「いいからとっとといけよお前!」
一喝した。
そして一度だけ、
くしゃみをした。

ユリツキは微笑み
走り出した。
まだ見ぬ世界へ。
過去のパラレルワールドへ。
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