黒王子と銀の姫
ようやく闇に慣れた目に映るイリアの表情から、その感情を窺うことは難しい。

「さっさと出て行け。もうお前に用はない」

犬でも追い払うように手を一振りした後、イリアはくるりと背を向けた。

「質問に答えて! どうしてここには誰もいないの? あなたはどうして独りなの?」

「王と第一王子の棺を守る長大な葬列が、はるか北にある王家の墓を目指して移動中だ。先代の王も三人の兄たちも世を去った。今は俺がこの国の王だ」

衝撃的なことを、さらりと告げられて驚いた。

「第一王子の棺って!?」

「第一王子・・・キリシュ・アルフォンソは死んだ。殺したのは俺だ」

「そんな・・・」

「王になるためだ」

王座に戻った少年は、足元に転がっていた王冠を拾い上げ、自らの頭に頂いた。



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