Kissシリーズ・「電車でのキス」
小さな田舎町だから、わたしが知らない顔だということは、違う町のコなんだろうな。

…にしても、情けない。

電車に乗り遅れそうなのを、助けてもらったなんて…。

でも彼には感謝しなきゃ。

いつかは何かお礼をするのも良いだろう。

そう思っていたら…いつの間にか、3年の月日が流れた。

お互い高校三年生。

あの衝撃的な出会いから、ずっと彼のことを意識していた。

けれどお互い一言も言葉を交わさず、ただ電車の中で姿を見つけては安心するだけ。

そして季節は春になった…。

卒業式を終えて、わたしは花束を持って電車に乗り込んだ。

「あっ…」
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