幾千の夜を越え
6th 真実
その足で学校へ向かった俺は、

「頼む、教えてくれ!」

「せやから…俺は何も知らん!
教えて欲しいのは俺の方だ…」

左山の肩を掴み懇願していた。

「何でも良いんだお前が覚えてる事は全て教えて欲しい」

俺の行為に左山は
困惑の色を隠さない。

「何でやねん?右近ちゅうたら、威厳の塊みたいな男やったやろ?そんだけの力と地位を兼ね備えた男やったやないけ…」

左山に振り解かれようと
何度も食い下がり離さなかった。

「聞け左近!
我等の存在意義は?
我等の宿望は何だ?
我等の心魂は一つではないのか?全ては尊を守護する為に…」

左山の説得は諦め
少々強引なやり方ではあるが、
俺は左近の説得に切り替える。

とはいえ、
普段の話し言葉ではないからか、噛みそうにはなるは
文句は浮かばないはで
冷や汗が吹き出す。

「俺の知ってる事実は…」

左山の中の左近が動く。

「右近が…俺を裏切り抜け駆けをしたっちゅうことや…」

左山の口から語られる
記録に記されていない
隠された真実…。

「右近が…左近を裏切った?」

「そうや…」

「どういう意味だよ!」

「右近の言う通り俺達の任は尊をお守りし命に代えてもお救いすることやったはずのに…。
右近は尊を連れ出し逃げおった」

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