キミガイタ120日



朝。




いつもより少し早く学校に到着。


またいつものようにみんなで屋上に集う。

そして次こそは成功させようと、あの写真のネガを囲んで厳重に話し合う。




シュウにはまだ曖昧なまま。

それでもシュウは毎日家まで送ってくれる。

家に着くまで間、ただくだらない話をしているだけなんだけど、あたしはそれだけでも楽しかった。

シュウに惚れた、とか、そういうんじゃないけど、シュウの存在はより大きなものとなっていくのが自分でも分かった。

そしてリュウへの気持ちも少しずつ、徐々に、塞げていた。







そんな日常が続いた、ある日。




いつもより早く学校が終わり、いつもより早い時間帯に家に帰ろうとしているときだった。


隣にはいつものように、シュウ。
















その時、聞こえて来たのだ、あの音色が、…。






甘く、切なく、どこか悲しげな、そんなギターの音色が。








思わず、足が止まってしまう。







「どうした?」





「な、何でもないよ。」











平然を装わなきゃ。



でも、なんでかな、リュウの笑顔が、リュウとの小さな思い出たちが次々と思い出される。







もう、忘れたんだよ?







リュウなんて、



リュウなんて、



もう、好きじゃない。







なのに、


これでもかと言うくらい出てくるこの涙は何?













リュウ!



鼓動が高鳴る、心の中のあたしが、リュウの名前を呼ぶ。





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